睡眠の質を上げる栄養と習慣

良質な睡眠をとるためには、まず基本の食事が整っていることが大前提です。

実際、食べ過ぎの人ほど睡眠時間が短く、途中で目が覚めやすいことが分かっています。

他にも、高脂肪食や塩分過多など、食生活の乱れが睡眠の質を低下させる原因になります。

したがって、 精製糖や高脂肪食を控え、主食(未精製穀物)、主菜、副菜を毎食バランスよく摂ること が、睡眠の質を高める基本です。

そのうえで、さらに睡眠の質を向上させるための具体的なポイントをご紹介します。

睡眠は健康を維持するうえで大切な要素

ぐっすり眠れるかどうかで、疲労の回復はもちろん、ホルモンバランスや代謝、免疫力にも大きな影響を与えます。

一口に「睡眠の悩み」といっても、人によって原因や症状はさまざまです。

大きく分けると、次の3つのタイプに分類されます。

  • なかなか寝つけない
  • 夜中に何度も目が覚めてしまう
  • 朝スッキリ起きられない

それぞれ原因は異なりますが、根本的な考え方は共通しています。

眠りのホルモン「メラトニン」

メラトニンは、体内時計を調整し、眠気を促すホルモンです。

このメラトニンがしっかり分泌されないと、なかなか寝つけなくなってしまいます。

そこで、メラトニンを増やすために意識したい5つのポイントを紹介します。

① 入浴で体を温める

まずは、お風呂につかりましょう!

シャワーだけで済ませている方も多いですが、 湯船につかることで寝つきが良くなることがわかっています。

寝る90分前に、40℃くらいのお湯に15分つかる

たったのこれだけです!

これにより、体温がゆるやかに下がり、自然な眠気を誘発します。

たとえば、23時に寝る場合は、21時半ごろの入浴がベストタイミングです。

お風呂に入ると一時的に体温が上がりますが、その後深部体温(体の内部の温度)が下がることで、スムーズに眠気が訪れるようになります。

② 日光を浴びる(朝の散歩がおすすめ!)

メラトニンは、「セロトニン」というホルモンから作られます。

そして、セロトニンは朝の光を浴びることで分泌されるんです。

朝に日光を浴びると、セロトニンが活発に働き、そこから約14〜16時間後にメラトニンへと変化します。

つまり、朝にしっかり光を浴びることで、夜に自然と眠くなる体のリズムを作れるということです。

朝の散歩や軽い有酸素運動を取り入れましょう!

③ マグネシウムリッチな食品を摂る

メラトニンは 食事からも作れます。

その流れを簡単に説明すると……

タンパク質 → アミノ酸 → L-トリプトファン → 5-HTP → セロトニン → メラトニン…

つまり、 葉酸・鉄・ナイアシン・ビタミンB6・マグネシウムが欠かせないということです!

とくにマグネシウムは、セロトニンをメラトニンに変える重要な役割を果たします。

マグネシウムリッチな食品を意識して摂ることで、より効率的にメラトニンの生成を促せます。

マグネシウムが豊富な食品
  • 玄米
  • 納豆
  • 豆腐
  • 豆乳
  • 海藻類(あおさ・わかめ・海苔など)
  • ほうれん草
  • 甘栗
  • アーモンド
  • 天然塩

GABAでストレスを和らげる

ストレスを和らげ、入眠を助けるGABAを含む食品もおすすめです。

実は、不眠症の治療にはGABA受容体をターゲットとすることが一般的です。

GABAを豊富に含む食品を意識して摂ることで、より良い睡眠につながります。

GABAを多く含む食品
野菜

トマト、ケール、パプリカ

果物

メロン、ブドウ、バナナ

乳酸菌発酵食品

ヨーグルト、キムチ、納豆

その他

カカオ、発芽玄米、蕎麦粉

睡眠前にグリシンを摂取する

グリシンには深い眠りをサポートする効果があります。

夕食にグリシンを含む食品を取り入れることで、より質の高い睡眠が期待できます。

グリシンを多く含む食品

ほたて、エビ、カニ などの魚介類

④ 腸内環境を整える

いくらメラトニンの材料となる栄養素を摂っても、 腸内環境が乱れていると、うまく吸収されません。

とくにミネラル(マグネシウムなど)は吸収率が低いため、腸のコンディションが悪いと効率よく取り込めないのです。

腸内環境を整えることで、栄養の吸収がスムーズになり、メラトニンの生成もより効果的に行われるようになります。

「腸内環境を整える方法」 については、後日アップします!

⑤ 15時以降のカフェインに注意する

午後のカフェイン摂取は睡眠の質を下げる原因になります。

カフェインの代謝・尿からの排出には、最低でも8時間以上かかるため、 15時以降の摂取は控えるのが理想的です。

カフェインを含む飲み物(100mlあたり)
コーヒー

約60mg

緑茶(煎茶)

約20mg

烏龍茶

約20mg

ほうじ茶

約20mg

玉露

約160mg(非常に高濃度)

ただし、コーヒーやお茶にはポリフェノールなどの抗酸化物質も含まれており、健康に良い側面もあります。

とはいえ、 飲みすぎるとメリットよりもデメリットのほうが大きくなります。

嗜好品として楽しむ程度(1日1〜2杯程度) に抑えるのが、健康的な生活を送るうえではおすすめです。

これまで紹介した5つのポイントが基本!

ここまで、睡眠の質を上げるための5つのポイントを紹介してきました。

  1. 入浴で体を温める
  2. 日光を浴びる
  3. マグネシウムリッチな食品を摂る
  4. 腸内環境を整える
  5. 15時以降のカフェインに注意する

これらを意識することで、自然と睡眠の質が向上し、ぐっすり眠れるようになります。

まずはできることから少しずつ取り入れて、自分に合った快適な睡眠習慣を作っていきましょう!